40年続く化粧品ブランドを蘇らせたクリエイティブの力-株式会社デジタルガレージ
株式会社デジタルガレージ 片桐 隆信 氏
オプサーでは広告代理店様とコンペから伴走する形もあります。
今回はオプサー登録アートディレクターがコンペから参画し、受注に至った事例を株式会社デジタルガレージの片桐 隆信 氏にインタビューしました。
株式会社デジタルガレージ
片桐 隆信
音楽専門商社にてバイヤー・セールスを担当した後、広告会社へ転職。資生堂・大塚製薬・ANA・PARCOといったナショナルクライアントへOOHを中心にクリエイティブ・デジタル領域を提案。その後デジタルガレージへ移り、クリエイティブ・新規技術(web3・AIなど)を使ったナショナルクライアントのマーケット開発を推進。
企業の声とは、オプサーをお使いいただいている企業の皆様へ、実際にオプサーを利用されてみてのご感想や、オプサーの活用方法について伺う導入企業インタビューシリーズです。
突然のコンペ案件、社内リソースでは対応しきれなかった。
–貴社の事業と片桐さんのミッションについて教えてください。
片桐 氏
デジタルガレージは、決済プラットフォーム事業とマーケティング事業を収益基盤に、スタートアップへの投資・育成事業を展開しています。また、テクノロジーとビジネスの双方の視点から、持続可能な社会の実現に向けたプロダクトやサービスの開発を進めています。。私はマーケティング事業を行うコマースマーケティング本部 ソリューション開発・アカウント開発チームに所属しています。
主にナショナルクライアントの開拓がミッションです。従来のデジタルマーケティングを活用した金融や単品通販領域の獲得型だけでなく、新しい領域を広げる必要がありました。そこで、クリエイティブやweb3、AIなどの新規テクノロジーを組み合わせて、ナショナルクライアントの開拓を目指しています。
デジタルガレージは伊藤穰一が共同創業者であり、ラボ機能を持っていたこともあり、最新テクノロジーを活用したソリューション開発にも積極的に取り組んでいます。そういった強みを活かしながら、新しいアプローチを模索しています。
–オプサーを利用することになった背景を教えてください
片桐 氏
きっかけは突然の新規ブランドの相談でした。40年ほど続いている「ウテナモイスチャー」という化粧品ブランドの三社コンペに参加することになったんですが、与件を聞いたところ、これはクリエイティブ勝負になるな、と感じていました。
ただ、当時は社内のクリエイティブチームがフル稼働で、社内リソースだけでは対応が難しい状況でした。
そんな中、オプサーから提案を受けて、使ってみることにしたんです。当時のニーズにぴったりだったこともあり、すぐにクリエイターさんと面談をして決定。オプサーのクリエイターさんとコンペに挑戦し、結果的に受注することができました。
オプサーはクリエイターのWillとCanが可視化されている
–実際オプサーの画面をご覧になってみて、「クリエイターと出会いやすくなった」という感覚はありましたか?
片桐 氏
私個人としては、クリエイターに対して「どこの会社に属しているか」をあまり意識していません。クリエイティブの世界では会社よりも個人の名前で評価されることが多いと思っています。「この人と仕事がしてみたい」となるような個々のクリエイターと直接出会うことができるのがオプサーの画期的なところです。
普通の制作会社だと、個々のクリエイターの「今忙しい」とか「こんな仕事がしてみたい」とか具体的な状況って見えづらいんですよ。でも、オプサーでは各クリエイターの現在の稼働状況や、どんな仕事をしたいのかといった希望まで可視化されています。
Will-Can-Mustでいうと、クリエイターさんのWillとCanの部分がはっきり見えるんです。結局アウトプットって個人の力に大きく左右されると考えているので、プロジェクトを進める上でこれらが分かると誰と一緒にチームを組むか?を決めやすくなります。
コンペの結果、ミニマム予算から約10倍の予算で受注
–今回のプロジェクトの具体的な内容と進め方を教えてください
片桐 氏
今回のプロジェクトは、40年以上続いているウテナモイスチャーというロングセラーブランドのリブランディングでした。主な愛用者は70代、80代。販売チャネルは店頭販売がほとんど。
まずはコンペに向けて自社のチームとオプサーのクリエイターさんとブレストから始めました。今回助かったのは、クリエイターさんの化粧品業界のデザイン経験が豊富で、業界的に抑えるべき素地を踏まえたうえでどこまで斬新なアイデアを出せるか?という議論ができたことです。
結局、コンペでは4つの提案を用意したところ、3企画が通り、ミニマム予算からすると約10倍の予算で受注できました。単なる面白いアイデアの羅列ではなく、それぞれが有機的につながる中長期のクリエイティブコミュニケーションを提案できたのが良かったのだと思います。
比較的少人数のチームでありながら、良い成果を生み出すことができました。
—プロジェクトの成果はいかがでしたか?
片桐 氏
実際の制作物として3種のキービジュアルを用いて、ブランドサイトのキービジュアル、SNSなど、オンライン、オフラインと様々な制作物をリリースしました。
数字で測りづらい部分もありますが、世の中に一定のインパクトは与えられたと思います。SNSでの反響も予想以上だったため、クライアントの社内でも「ウテナモイスチャーが如何に世間から愛されているか」が可視化され、良い影響がありました。デジタルだけでは表現しきれない表現をオフラインのクリエイティブで実現できたからだと思います。
クライアントからも好評で、デジタルガレージがクリエイティブに強い会社だと再認識してもらえました。今まではデジタルマーケティングやSNS運用がメインでしたが、クリエイティブも含めて総合的に任せてもらえるようになったんです。
この成功を機に、他のプロジェクトでも斬新なアプローチを求められるようになり、クライアントへ長期的な視点での提案ができるようになりました。
AIの発展が進むほど、エッジの効いたクリエイターが必要になる。
–今後、クリエイティブ分野でどのような取り組みをしていきたいとお考えですか?
これからは、AIやデジタル技術と人間らしい感性を組み合わせた表現にチャレンジしていきたいですね。クリエイティビティがより評価される時代になると思いますが、同時にAIの進化で70点、80点のクオリティは簡単に出せるようになるでしょう。
だからこそ、後10点、20点は人間にしか生み出せない、エッジの効いた表現ができる力を持つクリエイターとタッグを組んで取り組んでいきたい。
また、AIによる情報のパーソナライゼーションが進むと、人々が自分の興味範囲外の情報に触れる機会が減ってしまうと思うので、積極的に自分の足で稼いだ新しい体験や意外性のある表現をインプットし、クライアントへ提案できるように努めたいです。手法としてのAIは活用しつつ、人間だからこそできる新しい表現と組み合わせる。それが、ビジネスとしても大きな価値を持つと信じています。
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