オプサージャーナル
特別インタビュー

武蔵野美術大学×インテル×オプサーが創出! クリエイターと社会をつなぐ新時代の学びの場「MaとChiの寺子屋」始動〜共同主催〜インテルBlue Carpet Project 上野晶子氏

上野晶子

#インタビュー
投稿日2025年01月28日
更新日2025年01月28日

「Create Design Cycle~デザインで社会を循環させる~」をコンセプトとした、クリエイターと企業を繋ぐビジネスマッチングサービス「opusr(オプサー)」を運営するヒューリズムは、2024年9月よりクリエイティビティやデザイン分野における知の交換や人々の交流を創出する機会として、大学生から社会人を対象としたイベント「MaとChiの寺子屋」を運営しています。

MaとChiの寺子屋とは?(2025年2月19日(水)19時~:第二回 開催)
https://opusr250219.peatix.com/

また、本イベントは、大学と社会をつなぐ新しいカタチのコワーキングスペースとして武蔵野美術⼤学が新宿区の市ヶ谷キャンパスで運営している「Co-Creation Space Ma」、および、インテル株式会社が「クリエイターの新たな挑戦を支援する」を掲げて実施している「インテル Blue Carpet Project(以下、BCP)」と協働することで実現しました。

前回の武蔵野美術大学にて連携共創チームのリーダー河野通義氏に続き、今回はインテルBCPの責任者を務める上野晶子氏に、本イベントの開催に至るまでの背景や、本イベントを通じて実現していきたいことについてお伺いしました。

第二回 「MaとChiの寺子屋」のチケットはこちら

プロフィール

インテル
執行役員 マーケティング本部 本部長
上野 晶子

外資系ホテル、モバイル通信や医療機器メーカーでマーケティングを経験後、2002年にインテルに入社。その後エネルギーマネジメント企業でストラテジック・マーケティング担当を経て2018年にインテルに復帰。自社のマーケティング戦略にとどまらず、エコシステム・パートナーとの共同マーケティングを推進。

多様な経験から築いた仕事観「人に想いを伝え、喜ばせたい」

上野 晶子
第一回MaとChiの寺子屋でインテルBCPの説明をしている上野氏

―まず、上野さんのこれまでの多彩なキャリアやご経験について改めてお伺いします。非常に多くの企業でマーケティングをご経験されたとのことで、まさに「人に歴史あり」を体現するようなキャリアですね。

本当に色々な経験をしてきました。ホテル、通信、医療機器…振り返ってみると、よくこんなに転職したなと思いますね。基本的に、私自身が飽き性だというのもあるのですけど(笑)。

ただ、どんな仕事にも共通して私が大切にしていることは、“何かを誰かに伝える”という点、つまり「コミュニケーション」を柱にしています。製品の機能やスペックを説明するよりも、その製品がどのように作られ、開発者のどんな思いが込められているのかを伝えることに、より大きなやりがいを感じます

高校時代にアラスカへ留学した経験が、振り返ればの私の原点になっているのかもしれません。親元を離れて、全く違う文化の中で生活した1年間は、私にとって大きな転機でした。異文化に触れることで、コミュニケーションの重要性を改めて認識しましたし、多様な価値観を受け入れることの大切さを学びました。ホスピタリティ産業に魅力を感じ、ホテルをファーストキャリアに選んだことも、そうした海外での経験が影響しているかもしれません。

結局、ホテルであれイベントであれ、最終的に「人が喜んでくれるモノやサービスを提供したい」という気持ちが強いんです。新卒から今まで、マーケティングという仕事を続けてきたのは、コミュニケーションを仕事の柱として選んできた、単なる結果に過ぎないかもしれません。

インテルの魅力、マーケティングの重要性

―インテルには出戻りされたということで、1回目のインテル時代と、出戻り後のインテルを合わせると合計で15年以上もインテルにお勤めとのことですが、多くの企業で経験を積んできた中で、特にインテルに惹かれる理由は何でしょうか?


インテルの好きなところは、ものづくりをしているところですね。工場があって、そこで働く人たちがいて、24時間体制で稼働している。ソフトウェアの会社ではなく、実際に"もの"がある会社で働きたいと思っていました。
先ほどお話しした通り、私は造り手の想いを伝える仕事が好きだし、自分自身、それが得意だと思っています。

現在、インテルでは、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)を中心としたパートナーマーケティングを担当しています。PCメーカーをはじめとする様々なパートナーと連携し、インテル製品の価値をエンドユーザーに伝えています。インテルはPC部品のメーカーですので、最終的にインテルのCPUが搭載されたPCが売れていくことで、インテルの利益も生まれます。いわゆる、”風が吹けば桶屋が儲かる”ようなビジネスなのです。そのため、PCが普及し始めた時代はインテルは業界内のシェアは非常に高く、正直、何もマーケティング活動をしなかったとしても、売上も利益も伸びていくような状況だったと思います。

しかし、近年は競合他社の台頭により、マーケティングの重要性が増しています競合が増えたことで、エンドユーザーに対してインテルの価値をきちんと伝える活動が重要になってきています

インテルBlue Carpet Project(BCP)の意義

インテル Blue Carpet Project

―インテルが2022年から継続して実施しているクリエイター支援プログラム「インテル Blue Carpet Project(BCP)」についてお聞かせください。

BCPは、端的に言えば、Windowsマシンを使ってクリエイティブな活動をしている人たちを支援するプログラムです。デザイナーなどの特定の方々だけでなく、アニメーターやダンサーなど、多様な分野のクリエイターと直接対話することで、それぞれのニーズを理解し、彼らがより能力を発揮できるような環境を提供しています。

BCPの始まりは、某大手PCメーカーがIntel製のCPUを採用しないという決断をしたことがきっかけです。その結果、映像やグラフィックの創作・制作を行っているクリエイターたちとインテルの接点が大幅に減少しました。そこで、「昔からWindowsマシンを使っているクリエイターは、どんな人たちで、どんなニーズを持っているのか?」を知りたいと思ったのがきっかけです。

実際に、様々なクリエイターの方にお話を伺いました。すると、Windowsマシン以外のユーザーの多くは、PC本体やPCの中身の性能に強いこだわりを持っているわけではなく、周りの人が使っているから、あるいは、以前から使い慣れているから、という理由でPCを選んでいることが分かりました。


そこで、「Windowsマシンにも素晴らしい製品があることを知ってもらえれば、Windowsユーザーを増やせるのではないか?」と考え、BCPを立ち上げました。
BCPでは、クリエイターの方々に最新のWindowsマシンを提供し、その使い心地や感想を伺っています。また、クリエイター同士の交流を促進することで、新たなイノベーションを生み出す場としての役割も担いたいと考えています。

最近、そうした地道な活動が徐々に芽を出し始め、BCPのメンバー同士がコラボレーションして、新しい作品を生み出したり、ビジネスチャンスを広げたりする事例が増えています。それが本当に嬉しいです。

例えば、BCPのメンバーである仏像彫刻家である宮本我休さんとお話する機会があったのですが、彼は本当に自分がやるべき創作活動、つまり、「彫刻を彫る」というフィジカルな制作プロセスに全力を注いでいます。その最も重要な”彫る”活動に自身のリソースを集中させるため、彫刻の設計やシミュレーションの際は、インテルが搭載されている高度な処理能力のあるPCを使用してくれています。このように、インテルの技術が、彼らの創造性を最大限に引き出すことができるようになることが我々がBCPを続ける意義だと思います

MaとChiの寺子屋の意義と展望

Co-Creation Space Ma
武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス「Co-Creation Space Ma」にて開催されたMaとChiの寺子屋の様子

―24年9月に第一回を開催したMaとChiの寺子屋について、初開催を終えての所感や今後の展望について教えてください。

第一回のMaとChiの寺子屋では、異文化交流の面白さを改めて実感しました。異なる分野の人たちが集まり、刺激し合うことで、新たな発想が生まれます。このイベントは、"知性を掻き立てる場" として、大きな可能性を秘めていると感じています

今後は、参加者同士のインタラクションを強化し、具体的な成果に繋げていくことがさらなる伸び代の部分だと考えています。例えば、参加者自身が発信する場を増やしたり、狭い意味でのデザインという領域に固執せずに、私たちインテルが得意としている情報技術に関するテーマを扱って良いかもしれませんし、今後の展開にも様々なアイデアが浮かんできますね。

また、参加者同士のインタラクションだけでなく、運営側である我々と志を共にしてくれる仲間がもっと増えていったら良いな、と思います。どういうことかと言うと、このようなイベントやコミュニティって、結局、演者と観客という分断が起きがちだと考えています。今回、私たちだけでなく、共同主催である武蔵野美術大学さんも、オプサーさんも、このMaとChiの寺子屋という場は、売上や利益といった観点を度外視で、クリエイティブという産業や、それに関わっている、あるいは今後、関わりたいという志を持つ若人たちの一助になればという想いで、各社が持っているリソースを持ち寄りながら、手弁当で企画・運営しています

であれば、同じ志を持ち、自分もこのMaとChiの寺子屋という場に貢献したいとか、あるいは、この場を通じて実現したいことがあるという人がもしいらっしゃれば、そういった人たちも積極的に運営に関わってくれ流ようなことが起きたら嬉しいですし、より、この場の活性化にもつながるのではないかと思います。

まだMaとChiの寺子屋は始まったばかりの取り組みですが、せっかくならば、参加者の方々も含めて、関わってくれる人みんなで大きく、良い場にしていきたいですね。

お知らせ

第二回「MaとChiの寺子屋」25. 2/19(水)19:00~開催

MaとChiの寺子屋

詳細の確認やお申し込みは以下のPeatixイベント申し込みページよりお願いします。

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