
2025年版企業やサービスのロゴデザインのトレンドと成功事例20選
ブランドの第一印象を決定づけるロゴは、単なる視覚的なマークではありません。デジタル化やサステナビリティの波、そして多様化する価値観の中で、ロゴに求められる役割はますます進化しています。
本記事では、2025年に注目されるロゴデザイントレンドと、実際の企業やサービスが実践した成功事例を通じて、これからの時代に求められるロゴのあり方を明らかにします。
ロゴデザインのトレンドの背景と影響
近年、ロゴデザインに求められる要素は大きく変化しています。まず第一に、ユーザーエクスペリエンス(UX)への配慮が企業の重要課題となっており、画面サイズや表示媒体に応じたレスポンシブ対応のロゴが必要不可欠となりました。また、サステナビリティや社会的責任への関心の高まりにより、自然素材や手描き風、オーガニックな印象を与えるロゴが増加しています。さらに、グローバルブランドの間でビジュアルの差別化競争が激化しており、単なるデザイン性だけでなく、ブランドの哲学や世界観を凝縮して表現する力が求められています。これらの変化を背景に、ロゴは単なる「マーク」ではなく、企業の価値や方向性を可視化する戦略的要素としての意味を強く帯びるようになっています。
ロゴデザインのトレンドを学んだうえで、自社のロゴ制作を外注することを検討している方はこちら
▼企業のロゴ制作を外注する際の注意点やポイントを解説
企業のロゴ制作を外注する際の注意点やポイントを解説|デザイナー・クリエイターの為の情報メディア|オプサージャーナルhttps://opusr.jp/journal/a_100090
トレンド一覧とその解説
トレンド名 | 内容と特徴 |
---|---|
フラット&ミニマル | 色数を抑え、シンプルな形状でブランド力を強化 |
レスポンシブロゴ | スマホ・PC・アプリ等で形を変えられるロゴ |
タイポグラフィ強調型 | フォントに独自性を持たせ、ロゴだけでブランドを喚起 |
オーガニック調 | 曲線や優しい色味、エシカルブランド向け |
3D/メタリック調 | 高級感や沈入感。IT・テック業界で流行 |
成功したロゴの実例16選-企業・法人のロゴデザイン
LGのブランド刷新

韓国のテクノロジーブランドLGは、2023年にロゴを3Dから2Dのフラットデザインへと刷新しました。この変更は、デジタル時代に適応し、ミレニアル世代やZ世代の消費者をターゲットにしたもので、「Life’s Good」というスローガンを前面に出したマーケティングキャンペーンと連動しています。結果として、ブランドの現代化と若年層への訴求力が向上しました。
スターバックスのアイデンティティ強化

アメリカのカフェチェーン大手スターバックスは、2011年に大きなロゴ刷新を行いましたが、その後も定期的な調整を通じてブランド価値の強化に努めています。象徴的な「サイレン」のアイコンを中央に据え、ブランド名をロゴから排除するという大胆な判断により、視覚的なグローバル展開を加速させました。ロゴ単体でスターバックスを想起させる力を持ち、シンプルでありながら強いブランド認知を獲得しています。これにより、モバイルアプリやSNSでも高い視認性を保ちつつ、現代的で洗練されたブランドイメージの定着に成功しています。
ブルーボトルコーヒーのグローバル戦略

ブルーボトルコーヒーは、“第三の波”コーヒー文化の象徴として急成長を遂げる中で、グローバル展開に合わせたブランディングの再設計を行いました。ロゴデザインにおいては、紙コップや店頭サイン、アプリなど多様なメディアでの表示に対応するため、サイフォン型のシンボルロゴのサイズ感やバランス、色の濃淡を細かく調整。背景色に応じて柔軟に使い分けられる設計とすることで、ブランドの一貫性を保ちながらも柔軟な適応力を実現しました。視認性の高さと洗練されたミニマリズムが、同ブランドの「品質へのこだわり」という価値観を体現しています。
バルミューダの洗練

バルミューダは「美しさと機能の融合」という哲学のもと、ロゴにもその世界観を反映。従来の無機質な印象から脱却し、文字間(カーニング)や字形のエッジを微調整することで、温もりや有機的な印象をもたらしました。また、製品パッケージやウェブサイトにおいても、ロゴのサイズや配置ルールを厳密に定め、統一されたブランド表現を構築。高価格帯の家電という市場ポジショニングにおいて、洗練と信頼を訴求する要素としてロゴが重要な役割を担っています。
ファイザー社の信頼を象徴する進化

2021年、ファイザーは企業ロゴを刷新し、DNAの二重らせんを象徴するシンボルを採用しました。これは、従来の「製薬会社」という枠を超え、科学と技術革新を基盤とするライフサイエンス企業への進化を明確に示すものです。特にmRNAワクチン開発で得た信頼を、継続的なブランド価値へと転換する意図がありました。
また、新ロゴは従来の楕円形から脱し、フラットかつミニマルな設計に変更。これにより、スマートフォンやSNSのプロフィールアイコン、アプリ、Webサイトなどあらゆるデジタル接点で視認性と汎用性が高まり、一貫したブランド体験の提供が可能になっています。これは、医療従事者や一般消費者とのコミュニケーションを強化する、マーケティング上の重要な施策です。
ボルボの未来志向と安全美学

2021年、ボルボは象徴的な「鉄のマーク」を維持しつつ、ロゴをフラットでモノクロのミニマルデザインに刷新しました。これは、EV化とサステナビリティを軸とした新たなブランド像への転換を示すものです。シンプルな線によって「安全性」「堅牢性」「先進性」を表現し、Webやアプリなどあらゆるデジタルメディアでの視認性と展開力を強化。静かな高級感をまとった、新時代のプレミアムブランドとしての地位を明確に打ち出しています。
楽天の多角化を支えるブランド再構築

楽天のロゴは、クリムゾンレッド 濃い赤と太めのフォントで強い視認性と記憶性を確保しつつ、下部の鋭角なラインが「スピード感」「前進」「競争力」を象徴しています。特定の業種に縛られず、EC、金融、モバイルといった多様な領域で機能する汎用性の高さが特長です。装飾を省いたシンプルな構成は、デジタルから印刷物まで幅広い媒体での運用に適しており、グローバル展開を視野に入れた実用的なロゴ設計といえます。
PayPalのデジタル時代への再定義

PayPalのロゴは、2つの異なる青で彩られた「Pay」「Pal」を一体感のあるサンセリフ体で構成しており、ブランド名全体をロゴタイプとして前面に打ち出す設計です。2色のブルーグラデーションによる配色は、決済プラットフォームに求められる堅牢性と親しみやすさのバランスを取りつつ、グローバル市場における視認性を担保しています。文字間隔や字形はデジタル表示での視認性を最適化するよう精緻に調整されており、単なるロゴタイプではなく、プロダクトUIとの統合まで意識された高度なブランディング設計といえます。
LAMBORGHINIのスピード感あるミニマリズム

ランボルギーニの2024年発表のモノクロ・フラットバージョンは、3D的な「物質性の演出」を意図的に排除し、「象徴性」への回帰を志向しています。これはメタバースやバーチャル空間での展開、あるいは持続可能性という文脈下性文脈下での“ラグジュアリー再定義”を睨んだ戦略的削ぎ落としといえるでしょう。
味の素の“親しみ”戦略

新しいブランドロゴは、商品名「味の素®」と象徴的なお椀のモチーフを際立たせるため、無駄を削ぎ落としたシンプルでモダンなデザインに刷新されました。アウトラインの丸みや滑らかさにより、親しみやすさや「まろやかなおいしさ」といったブランドイメージが視覚的に強調されています。
東京大学の知性と革新の可視化

シンボルマークは東京大学の象徴であるイチョウをモチーフに、黄色と青の対比で知性と未来志向を表現。従来の重厚で格式高いイメージを損なうことなく、グローバル社会に開かれた先進性と親しみやすさを両立させています。
また、欧文ロゴの「UTokyo」は一見ミニマルながら、UとTの大小を対比させることで権威と革新のバランスを巧みに図っており、国際社会における認知性と識別性にも配慮された設計となっています。
NOKの産業美を形にする再設計

NOKのロゴは、幾何学的な構成で「N」「O」「K」を抽象的に表現しつつも高い可読性を保っており、機能性と精密性を強く印象づけます。中央の「O」はベアリングを想起させ、事業内容と視覚言語を直結させた設計です。無駄を排した造形美が、信頼性・耐久性といった工業製品の特徴を端的に体現しています。
ETSの教育ブランドとしての信頼表現

TOEICの運営を行うETSのロゴリニューアルは、従来の伝統的で硬質な印象から脱却し、グローバルかつインクルーシブな教育機関としての姿勢を明確に打ち出すものとなっています。新ロゴでは、アステリスクを再構成したダイナミックなシンボルを採用し、「多様性」「対話」「可能性の広がり」といった価値観を視覚的に体現。今回のリニューアルは、ブランドの再定義というより、未来に向けた積極的な進化の意思表明といえるでしょう。
ITTALAの北欧らしさと普遍性

イッタラのロゴは、縦長の「I」と横画を強調した「T」による独特のタイポグラフィで、北欧デザインらしい機能性と詩的感性を体現しています。過度な装飾を排しつつも造形美を宿し、クラフトと工業の間を行き来するブランド哲学を象徴。下部に配置された「1881」は歴史と信頼を静かに伝え、長く使い続けられるものづくりへの姿勢を視覚的に補強しています。
ROHTOのヘルスケア理念の視覚化

ロート製薬のロゴは、清潔感のあるブルーのサンセリフ体を基調としつつ、文字下部に配された赤いスマイル曲線がブランドの親しみやすさと前向きな姿勢を象徴しています。特に「R」の始点から「O」へと自然につながるこの曲線は、人と人、企業と社会をつなぐヘルスケアの理念を視覚化した要素といえます。
PEPSIのポップカルチャー再定義

2023年に刷新されたペプシの新ロゴは、1990年代のロゴを現代的に再解釈したリバイバルデザインです。中央に力強く配置されたブラックの「PEPSI」ロゴは、従来の白抜きロゴに比べて視認性と重心の安定感が向上。円形のシンボル内では、赤・白・青のウェーブが以前より明確に対比され、ブランドのエネルギッシュな個性を強調しています。レトロとモダンのバランスを巧みに融合し、Z世代から従来のファン層まで幅広く訴求する設計です。
成功したロゴの実例4選-サービスのロゴデザイン
LIPSの多様性と未来を映す“余白”のロゴ

LIPSの新しいロゴは、無彩色の黒い円の中に配置された白いシンボルマークが印象的な構成で、周囲を縁取る多彩なカラーがブランドの多様性と開放性を象徴しています。中央の白は「何色にも染まらない」「何色にもなれる」存在として、LIPSが掲げる“なりたい自分をもっと自由に”というブランドビジョンを体現。色合いだけでなく「余白」としての意味も内包し、未来への可能性と変化を受け入れる姿勢が込められています。
今この瞬間の自分だけでなく、5年後、10年後の姿にも寄り添う——そんな長期的なブランドの関わりを、象徴的に表現したロゴリニューアルといえるでしょう。
tappleの出会いを彩るグラデーションの交差

tappleのロゴは、重なり合う2つのグラデーションサークルを象徴的に用いたデザインで、出会いや関係性の“つながり”を視覚化しています。ピンクからブルーへと滑らかに変化する色彩は、多様な価値観や個性が交差する場としてのアプリの世界観を表現。やわらかなサンセリフ体のロゴタイプと組み合わせることで、親しみやすく、軽やかな印象を生み出しています。
2つの円が交わるその中心には、「偶然の出会い」や「心の重なり」といったブランドの核となる想いが込められており、シンプルながらも感情に訴えるロゴリニューアルとなっています。
NEWSPICSの知を象徴するシャープな再定義

シマウマを象った大胆なライン構成が、スピード感・知性・多様性を象徴し、NewsPicksの先進的かつ批評的なビジネスメディアとしての立ち位置を的確に表現しています。幾何学的かつシャープなデザインは信頼性と鋭い視点を印象づけ、文字ロゴとの一体感も高く、ブランドの視認性・記憶性に優れた優秀なロゴといえます。
まとめ

本記事では、2025年の最新ロゴトレンドから実際の企業やサービス事例、そしてロゴデザインの基本ポイントに至るまでを網羅的に解説しました。ロゴは単なる装飾ではなく、企業の方向性やブランド価値を可視化する強力な武器です。
成功事例に見られるように、効果的なロゴ刷新には戦略的な意図と顧客理解が不可欠です。トレンドをただ追いかけるのではなく、自社のビジョンや文化、ターゲットとの接点を丁寧に見つめ直すことが、優れたロゴデザインへの第一歩となります。
今後、企業が持続的に成長していくためには、ブランドの顔であるロゴを定期的に点検し、時代やユーザーの価値観に合わせて進化させていくことが求められるでしょう。
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